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縮小する住宅市場と定期借地・借家権の効用
手元に2012年2月14日付住宅新報論説主幹・本多信博氏の署名記事があります。1992年(平成4)に制度創設された定期借地権が、昨年8月で満20年を迎えているにも拘わらず、いまだ十分な市民権を得たとは言えない。なぜだろうかと疑問を呈しています。

借地期間が終了する50~70年後に土地を更地返還する契約となっているため、「定期借地権は何も残らない」というイメージが強いからだと氏は言うが、一方で、これは「所有権付き」と「定期借地権付き」との精密な比較になっているだろうかと問いかけています。

建物1500万円+土地1500万円=3000万円の住宅を想定してみる。建物は定借でも所有するので、土地だけを考えよう。土地代1500万円を全額35年返済のローンで調達すると、毎月の返済額は完全固定(金利)で5万7000円程度になる。

これに対し定借なら、土地コストは地代なので1500万円×1.6%(推定)=24万円とすれば、毎月2万円程度か。差額の3万7000円を、35年間積み立てると無利子でも1554万円となる。

ここで、35年後に保有している資産を比べると、所有権で購入した場合は35年前に1500万円で購入した土地であり、定借の場合は預金の1554万円+利息となる。どちらが資産として魅力があるだろうか。

所有権付土地は永遠に持ち続けられると言うのであれば、積み立てた現金で35年後に取得したほうが得ではないだろうか。もちろんこれは、地価が下落していくことを前提としているが、そこに異論を挟む人はあまりいないだろう。

つまり、地価が下落していく時代の資産防衛策として、定期借地権は十分検討に値する選択肢なのである。もう一つ、居住環境という視点でも、定期借地権は喜ばれている。高松市内の定期借地権物件「春日町煉瓦タウン」を購入されたSさんは、「敷地が広くて決めた」と言います。

一方00年3月1日に登場した定期借家もあまり普及していない。これも不思議である。家賃滞納とクレーマー・リスク増大、収益力が落ちたアパートの建て替え準備などを考えたら、定期借家権を導入しない理由が見当たらないからである。

定期借家権だと借り手に「追い出される不安が生じる」と言われるが、それはあり得ない。オーナーにとって最大の不安は「空室の発生」だからである。家賃滞納もしない、不良入居者でもない借り手を追い出すオーナーはいないのです。私を含めて不動産業者の不勉強と言わざるを得ない。

不動産業者にとって、再契約を繰り返さなければならない定期借家は手続きが面倒なのは確かだが、これも普及させなければ簡素化への法改正は進まない。不良入居者を排除して良好な住環境を維持しやすくなるなど、定期借家の時代的意義を考えれば、今こそ定期借家の普及促進を図る時代だ。

住宅市場は人口減少や少子高齢化でマーケットが縮小していく。ヤマダデンキ&エスバイエル軍団も仲介業に迫ってきている。定期借地や定期借家市場の拡大は新たな需要拡大に繋がるはずであると私も確信しています。

そこで定期借地借家権が市民権を得るように、定期借地借家に関する事業を行うことによりその普及を促進し、土地の有効利用良質な住宅の供給を通じ、住環境の整った街づくりを行い、もって多くの公益に貢献することを目的として、「NPO法人香川県定期借地借家権推進機構」を設立することをここに宣言します。